介護のヘルプ|介護士目線の介護現場

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生活行為をいかに引き出すか

   

みなさん、こんちは。

今回は高齢者の身体機能が低下した時、生活行為をいかに引き出すかに考えたと思います。

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脳卒中などで病院に運ばれると、治療とともに身体機能の回復を目指してリハビリを行ないます。病院は十分な治療やリハビリを実施したらある程度の目標に達したら、「そろそろ退院の時期ですよ」と退院を促されます。普通なら嬉しいはずですが、身体機能が発症前と同じ程度に戻らないため、「もう少し良くなってから退院したい」と考えてしまいがちです。こうして、退院を伸ばしてもらったり、他の病院を探してりするケースも多いのが現実です。

 

すでに治療期を終えていて、身体機能のことだけを考えるなら、病院よりも生活の場である自宅に戻った方がいいでしょう。生活の場には、病院の訓練とは違う実践があります。日常生活の中で必要な排泄、入浴、食事など、生活しながら訓練することができます。ましてや、生活の場である家庭には高齢者の性格、嗜好、発症前のライフスタイルなど、もっともよく知っている家族や知人、友人がいます。元通りの生活ができるようにサポートしてくれるのです。

 

機能訓練を続けるには本人の訓練意欲が必要ですが、老いて発症した人にいつまでも「頑張れ」というのは限界があります。訓練に意欲がなくても生活に対する意欲があれば大丈夫です。

 

私達は一定の身体機能を持って、普通の日常生活をおくっています。しかし実際は「普通の生活」を繰り返しているから、身体機能が維持できている側面の方が大きいのです。専門家がいなければできない訓練ではなく、毎日の生活の中で繰り返し行なう「生活行為」をひとつでも引き出すべきなのです。

 

ただし、生活行為を引き出すためには、今までと発想を変える必要があります。例えば、身体機能をできることとできないことに分け、出来ないことはあきらめて、少しでも可能性があることについては、その機能を行かせるような条件をつくるのです。「あきらめる」というのは、消極的な姿勢ではありません。むしろ現実をきちんと受け止めて、そこから出発しようとする積極的な姿勢なのです。今の身体機能を使い、できることを活用して、生活行為引き出します。そして、普通の生活を取り戻していくのです。最初でお話した通り、リハビリの後にすぐに自宅に戻ることに不安を感じることもあるでしょうが、専門的なリハビリではなく、これから生活行為を引き出すために環境を整えて、前向きに取組もうという姿勢が大切です。

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